健康診断・人間ドックの結果を確認しましょう
健康診断や人間ドックは、病気の早期発見の他に、将来の病気を予防する目的で行います。検査結果は、過度に深刻にとらえすぎず、たいしたことないと放置せず、検査結果を正しく理解し、将来の病気を予防しましょう。健康診断では、特に生活習慣病のリスクを診ています。生活習慣病は放置すると動脈硬化を進行させ、脳や心臓に重篤な病気を引き起こす可能性があります。また、健康診断時ではまだ病気になっていなくても、放置することで数年後に大きく日常生活を制限するような治療を受けなくてはならなくなることもあります。深刻な病気を引き起こす前に、専門医の意見を一度しっかりと聞いておくことが重要です。
健康診断・人間ドックの結果の見方
健康診断の結果は、A~Eの5つのアルファベットで判定され、「異常なし(A,B判定)」、「要経過観察・要塞検査(C判定)」、「要精密検査(D判定)」、「要治療(E判定)」となります。健康診断の結果において「やばい」とされているのは「要精密検査(D判定)」と「要治療(E判定)」です。
異常なし「A判定」「B判定」
「異常なし」の結果が出たときは、数値が正常範囲であったことをあらわします。A判定に比べて、B判定は基準値をわずかに超えていることをあらわしますが、再検査の必要はない状態です。
要経過観察・要再検査「C判定」
「要経過観察」は、数値が正常範囲ではなかったため、定期的な検査を受けて経過観察をする必要があることをあらわします。医療機関によっては「C12: 年1回の健診で経過観察」「C3: 3ヶ月後に再検査」など細かく区分わけされていることがあります。すぐに治療が必要な段階ではありませんが、生活習慣を意識的に改善して数値を正常範囲に戻すことが重要です。「要再検査」は健康診断での異常な数値が一時的なものか、慢性的なものなのかを確認するため、もう一度健康診断と同じ検査を行います。その結果、異常な数値が一時的なものであるとわかれば「要経過観察」、再度異常な数値が出た場合には精密検査を行います。
要精密検査「D判定」
「要精密検査」は、病気の有無を調べたり、病気を特定するために精密検査を受ける必要がある状態をあらわします。「要精密検査」で精密検査を受けた結果、異状なしとわかることもよくあります。「要精密検査」の結果が出たときは、必ず精密検査を受けてください。
要治療「E判定」
「要治療」は、すぐに治療を受ける必要がある状態であることをあらわします。すみやかに受診してください。
要再検査や精密検査を受けるタイミング
「要再検査」や「要精密検査」の結果が出た場合、健康診断の結果の総合判定欄などに「生活習慣に気を付けて3ヶ月後に再検査を」や「精密検査が必要。早めの受診を」のように検査を受けるタイミングが表記されています。不明な場合は、健康診断を受けた医療機関に問い合わせましょう。
検査項目について
脂質代謝
中性脂肪
高値の場合に疑われる病気
- 脂質異常症
- 脂肪肝
- 動脈硬化症
- 甲状腺機能低下症
など
低値の場合に疑われる病気
- 低栄養
- 甲状腺機能亢進症
など
HDLコレステロール(善玉コレステロール)
低値の場合に疑われる病気
- 脂質異常症
- 動脈硬化症
など
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)
高値の場合に疑われる病気
- 脂質異常症
- 脂肪肝
- 動脈硬化症
- 甲状腺機能低下症
など
低値の場合に疑われる病気
- 低栄養
- 甲状腺機能亢進症
など
総コレステロール
高値の場合に疑われる病気
- 脂質異常症
- 脂肪肝
- 動脈硬化症
- 甲状腺機能低下症
など
低値の場合に疑われる病気
- 肝硬変
- 甲状腺機能亢進症
など
糖代謝
血糖
高値の場合に疑われる病気
- 糖尿病
- 慢性膵炎
など
低値の場合に疑われる病気
- 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
- 下垂体機能低下症
など
HbA1c
高値の場合に疑われる病気
- 糖尿病
- 腎不全
など
低値の場合に疑われる病気
- 溶結性貧血
- 肝硬変
など
尿糖
疑われる病気
など
肝機能
AST(GOT)
高値の場合に疑われる病気
- 肝障害
- 心筋梗塞
など
ALT(GPT)
高値の場合に疑われる病気
- 急性の肝疾患
など
γ-GTP
高値の場合に疑われる病気
- 脂肪肝
- アルコール性肝障害
- 慢性肝炎
- 肝硬変
など
ALP
高値の場合に疑われる病気
- 脂肪肝
- 胆管炎
- 甲状腺機能亢進症
など
総ビリルビン
高値の場合に疑われる病気
- 肝炎
- 肝臓がん
- 薬剤性肝障害
など
直接ビリルビン
高値の場合に疑われる病気
- 肝炎
- 肝硬変
など
LDH
高値の場合に疑われる病気
- 肝炎
- 肝臓がん
- 心筋梗塞
など
総たんぱく
高値の場合に疑われる病気
- 慢性肝炎
- 脱水症
など
低値の場合に疑われる病気
- 栄養障害
- 肝硬変
- ネフローゼ症候群
など
アルブミン
低値の場合に疑われる病気
- 栄養障害
- 肝硬変
- ネフローゼ症候群
など
尿ウロビリノーゲン
陽性の場合に疑われる病気
- 肝臓障害
- 溶結性貧血
- 便秘
など
血球
赤血球
高値の場合に疑われる病気
- 多血症
など
低値の場合に疑われる病気
- 鉄欠乏性貧血
- 再生不良性貧血
など
血色素
高値の場合に疑われる病気
- 多血症
など
低値の場合に疑われる病気
- 鉄欠乏性貧血
- 再生不良性貧血
など
ヘマトクリット
高値の場合に疑われる病気
- 多血症
など
低値の場合に疑われる病気
- 鉄欠乏性貧血
- 再生不良性貧血
など
白血球
高値の場合に疑われる病気
- 虫垂炎
- 心筋梗塞
- 白血病
- 膠原病
など
低値の場合に疑われる病気
- 悪性貧血
- 再生不良性貧血
など
血小板
高値の場合に疑われる病気
- 鉄欠乏性貧血
- 慢性骨髄性白血病
など
低値の場合に疑われる病気
- 肝硬変
- 特発性血小板減少性紫斑病
- 急性白血病
など
膵機能
血清アミラーゼ
高値の場合に疑われる病気
- 急性膵炎
- 慢性膵炎
- 膵臓がん
- 腎不全
など
低値の場合に疑われる病気
- 膵臓がん(進行した状態)
- 慢性膵炎
など
腎機能
尿たんぱく
陽性の場合
- 糸球体腎炎
- 糖尿病腎症
- ネフローゼ症候群
など
尿潜血
陽性の場合に疑われる病気
- 糸球体腎炎
- 膀胱炎
- 尿路結石
- 尿路腫瘍
など
クレアチニン
高値の場合に疑われる病気
- 腎炎
- 腎機能障害
など
低値の場合に疑われる病気
- 筋ジストロフィー
- 妊娠
など
尿素窒素
高値の場合に疑われる病気
- 腎機能障害
- 消化管出血
- 脱水症状
など
低値の場合に疑われる病気
- 低栄養
- 妊娠
など
甲状腺
TSH
高値の場合に疑われる病気
- 甲状腺機能低下症
- 肝硬変
- 腎不全
など
低値の場合に疑われる病気
- 甲状腺機能亢進症
など
腹部超音波検査
疑われる病気
- 各臓器のがん、嚢胞、結石、ポリープ
など