逆流性食道炎とは
逆流性食道炎とは、主に胃酸などの胃の内容物が食道に逆流することで、食道に炎症を起こす病気です。胸焼けやげっぷ、酸っぱいものがこみ上げてくるなどの症状が引き起こされます。健康な人でも胃酸が食道に逆流することはありますが、短時間の場合は問題ありません。食道の粘膜は胃酸に対して弱いため、胃酸が食道に逆流する時間が長いと炎症が起こります。なお、逆流性食道炎は放置すると、食道がんの発生リスクを高めるため、適切な治療を行うことが重要です。
逆流性食道炎の原因
正常な胃では、食道と胃の境目にある胃の入口を締める役割を持つ筋肉（下部食道括約筋）が、食べ物が通過するとき以外は胃の入口を締めて、胃の内容物が食道に逆流しないようにしています。しかし、この下部食道括約筋が緩むと、胃から食道へと胃の内容物が逆流するようになります。下部食道括約筋は、加齢や、食べ過ぎや早食いなどによる胃の圧力の上昇、肥満や衣服の締め付けなどによる腹圧の上昇、高脂肪食などによって緩むとされています。
喉の違和感・みぞおち痛みはありませんか？
喉の違和感やみぞおちの痛みは逆流性食道炎によって引き起こされることがあります。また、声のかすれや咳が続くなどの症状も逆流性食道炎によって引き起こされている可能性があります。これらは主に寝ているときに胃液が喉のあたりまで逆流していることが原因となって起こっている場合が多いです。
逆流性食道炎の治し方
逆流性食道炎の薬物治療
逆流性食道炎の薬物治療では、主に胃酸の分泌過多を抑える胃酸分泌抑制剤を処方し、炎症を抑制し、粘膜の修復を促します。また、状態に応じて、粘膜保護薬や、胃の動きを改善する蠕動運動機能改善薬、食道粘膜の知覚過敏を抑える漢方薬などを処方することもあります。
PcabやPPI
PcabやPPIは胃酸の分泌を抑える薬です。PPIは、プロトンポンプという胃酸を分泌する仕組みを阻害することで胃酸の分泌を抑制します。Pcabは、PPIとは異なるメカニズムでプロトポンプを阻害し、PPIよりも即効性があり、作用時間が長い胃酸分泌薬です。
H2ブロッカー
H2ブロッカーとは、胃酸を分泌する細胞であるヒスタミンH2受容体に働き、胃酸の分泌を抑える薬です。胃が食べ物を消化し、十二指腸へ送り込む機能（蠕動運動）を改善し、胃に食べ物がとどまる時間を短縮するため、食道へ胃の内容物が逆流するリスクを減少させます。また、蠕動運動が改善されると、胃の内容物が食道へ逆流したとしても、内容物をすばやく胃へ戻せるため、食道粘膜へのダメージを軽減します。
制酸薬
制酸薬とは、胃酸を中和することで食道粘膜へのダメージを軽減し、炎症を改善します。
粘膜保護薬
粘膜保護薬とは、食道粘膜を保護することで、食道粘膜の修復を促します。
逆流性食道炎は自力で治る？自然に治る？
一過性の胃酸逆流であれば、自然治癒が期待でき、またその場合は症状が無自覚のものが多いです。無症状の患者様の胃カメラ検査で、逆流性食道炎の傷跡を発見することもあります。
逆流性食道炎の漢方薬
逆流性食道炎の薬物治療では、主に胃酸分泌薬を処方しますが、症状がなかなか改善しない場合には、半夏厚朴湯（はんげこうぼくとう）、半夏瀉心湯（はんげしゃしんとう）、六君子湯（りっくんしとう）、小柴胡湯（しょうさいことう）などの漢方薬を処方することがあります。
逆流性食道炎に飲むヨーグルト？
ヨーグルトは、逆流性食道炎のときにおすすめです。消化が良く胃にも優しいので、不快な症状の改善が期待できます。ただし、酸味が強いヨーグルトは避けてください。酸味の強いヨーグルトは胃酸の分泌を促し、逆流性食道炎を悪化させることがあります。
逆流性食道炎に大根おろしが良い？
生の大根には、ジアスターゼというたんぱく質分解酵素が入っており、ジアスターゼには消化を助けてくれる作用があります。ジアスターゼは市販の胃薬にも入っている成分です。酵素は熱によって機能が失われてしまうため、大根おろしとして摂取するのがお勧めです。お肉が好きだけど、胸焼けが気になるような方は、お肉を大根おろしと一緒に食べることで、胸焼けの軽減が期待されます。なお、ジアスターゼは大根のほかにも、カブや山芋に含まれています。
逆流性食道炎 寝方にコツがある？
身体の左側を下にして、横向きで寝ると、寝ているときに胃酸が食道に逆流しづらくなる傾向があります。これは胃の形は通常は左側にせり出ているため、左向きに横になることで、胃のくぼみに胃液がたまり、胃酸が食道に逆流しにくくなるということが理由です。人によっては改善されないこともありますが、普段右側を下にして寝る癖がついている人は、試しに左側を下にして寝てみると効果があるかもしれません。