大腸ポリープとは?
腺腫性ポリープと過形成ポリープ?
大腸ポリープとは、大腸の粘膜にできる「いぼ」の様な腫瘍のことです。様々な形があり、大きさは1mm程度のものから数cmまであります。ポリープを形成する細胞によって腺腫性ポリープ、過形成性ポリープ、炎症性ポリープなどに分類されます。治療が必要なポリープは、腺腫性ポリープと大きな過形成性ポリープです。大腸ポリープの中には、放置しているとがん化して、大腸がんを発症するものがあります。また、大腸がんのほとんどは、この大腸ポリープを経て発生していると言われています。
大腸ポリープの初期症状
初期の大腸ポリープは、ほとんどの場合は無症状です。しかし、肛門の近くにポリープができた場合や、ポリープが大きくなり出血したりすると、血の混ざった便が出たり、粘液が付着した便が出るなどの症状が出たりします。他にもお腹が張る、腹痛や下痢などの症状があらわれることがあります。
大腸ポリープの進行速度
大腸ポリープは、ゆっくりと成長します。初期のポリープががんの疑いのある大きさに成長するまでには2~3年程度、進行がんの大きさになるまでには5年程度かかります。
大腸ポリープは切除したほうがいい?何ミリから危険?
大腸ポリープは、良性腫瘍の状態であっても、将来的にがん化する可能性があるため、発見したら切除することがお勧めです。ポリープの大きさとしては、6mm以上は切除した方がよく、必要に応じて6mm未満でも切除を行います。
大腸ポリープ切除
大腸カメラ検査で大腸ポリープが発見された場合、切除の必要があると判断した場合には、その場で大腸ポリープ切除を行います。大腸ポリープの切除後1週間程度は食事や生活に制限が生じますが、切除は日帰りで行えるため、入院の必要はなく、また翌日から通常に近い生活を行えます。なお、ポリープの数や大きさなどによっては、入院による切除が必要になる場合もあります。入院が必要な場合には、連携する高度医療機関を紹介させていただきます。
ポリープ切除の手法
当院では、ポリープの形状、大きさなどによって、適した手法でポリープの切除を行っています。切除したポリープは病理検査を行って確定診断します。
ポリペクトミー
ポリペクトミーとは、ポリープ切除の最も一般的な手法で、スネアというワイヤーを内視鏡スコープの先から出してポリープにかけ、スネアに高周波の電流を流すことでポリープを焼き切る手法です。切除の際に高周波の電流を流すことで、切除部分の止血効果が期待できる一方、下部組織に熱が伝わってしまうと、出血や穿孔のリスクがあります。当院では、下部組織に熱が伝わらないようなポリープにのみポリペクトミーを行っています。
コールドポリペクトミー
コールドポリペクトミーとは、ポリペクトミーと同じようにスネアと呼ばれるワイヤーを内視鏡スコープの先から出してポリープにかけるのですが、ポリープを、電流を流して焼き切るのではなく、ワイヤーを締め付けることで切除する手法です。併せて専用の鉗子を使用することもあります。電流を流さないため、熱による下部組織への影響はなく、術後の出血や穿孔リスクは低くなります。現在最も術後合併症が少ないポリープ切除法とされています。なお、切除の際に出血することはありますが、多くの場合すぐに止血可能で、術後出血はほとんどありません。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
内視鏡的粘膜切除術(EMR)とは、ポリープの下に生理食塩水や薬液を注入し、ポリープを膨らませてから、スネアというワイヤーを内視鏡スコープの先から出してポリープにかけ、スネアに高周波の電流を流すことでポリープを焼き切る手法です。ポリープの形状が平坦で、膨らませなければスネアがかけられない場合に用いられます。ポリープの下に、液体で膨張させたスペースがあるため、切除の際の電流により下部組織に熱が伝わるのを最小限にできるため、術後の出血や穿孔リスクを抑えられます。クリップなどによる止血処置を行うこともあります。
大腸ポリープ切除後(食事)について
大腸ポリープ切除後、約1週間ほどの食事は、腸への負担を避けるために、消化に良いものを摂るようにしてください。コーヒーやアルコール、唐辛子などの刺激物、脂っこいもの、なまものは避けるようにしましょう。特にアルコールは血管を拡張させる作用があるため、大腸ポリープ切除後の傷口からの出血のリスクを増加させます。また、繊維質が多い野菜や果物から生じる便は、切除した傷口をこすってしまい出血を引き起こす可能性があるため控えてください。お菓子を食べる際は、脂分の多いものや辛い物を除き、切除後2日後くらいから摂取可能です。また食べ過ぎには注意しましょう。
大腸ポリープ切除後(安静期間)について
大腸ポリープ切除後3日間はできるだけ安静にしてください。力仕事や重労働は約1週間避けてください(切除したポリープの数や大きさにより安静期間は変化します)。運動腹圧のかかる運動(自転車、ゴルフ、テニス、ジョギング、30分以上の連続歩行)は避けてください。運動は血圧をあげたり、腹圧を加えるため、ポリープ切除後の傷口からの出血を助長する可能性があります。