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肥満と胃腸の不調

肥満とは

肥満とは、身長と体重から計算されるBMI(体格指数)が25以上の状態を指します。BMIは、BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)の計算式で求められます。例えば身長が170cm、体重が60kgの場合、BMIは60(kg)÷1.7(m)÷1.7(m)=20.8となります。


肥満と消化器疾患の関係

肥満と消化器のがんの発生率には関係があり、男女ともに肥満の人は肥満でない人よりがんの発症率が高くなっています。肥満の男性の場合は、食道がん大腸がん、胆管がん、膵臓がん、腎細胞がんになりやすく、肥満の女性の場合はこれらに加えて、卵巣がんと乳がん(閉経後)になりやすくなります。また、一度太った後にダイエットなどで痩せてもがんの発症リスクは変わらないと言われています。20歳以上に体重が12kg以上増えると、がんの発症リスクが増加します。


肥満と逆流性食道炎(胃食道逆流症)

内臓脂肪型肥満(腹腔内や腸のまわりに脂肪が蓄積している肥満)は、腹腔の圧力や胃の圧力を上昇させ、下部食道括約筋の機能低下を引き起こしやすく、胃食道逆流症(GERD)を発症することがあります。胃食道逆流症(GERD)は非びらん性食道逆流症 (NERD)と逆流性食道炎に分類されます。また、内臓脂肪型肥満は内臓脂肪の過剰蓄積により食道裂孔ヘルニアを引き起こしやすく、食道裂孔ヘルニアになると逆流性食道炎が起こりやすくなります。逆流性食道炎は食道がんを引き起こす原因になるので注意が必要です。

逆流性食道炎


肥満と脂肪肝

肥満によって肝臓に中性脂肪がたまる病気の脂肪肝が引き起こされます。脂肪肝の原因は、お酒の飲みすぎや肥満、メタボリックシンドロームなどです。脂肪肝は飲酒による肥満を伴うアルコール性脂肪肝と、飲酒によらない肥満を伴う非アルコール性脂肪肝にわけられ、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)には肝硬変や肝臓がんへと進行していく非アルコール性脂肪肝炎という病気が含まれます。近年非アルコール性脂肪肝疾患が増加しており、脂肪肝と診断された場合は定期的な検査を受けることが必要です。また小児の肥満に関しては、小学生の2~3%、中学生の5%が非アルコール性脂肪肝疾患を患っているという報告があります。


肥満と胆のう結石

肥満の人に多い胆のう結石は、コレステロール結石です。特に40~50歳代の肥満女性に多いです。胆のう結石症を発症すると、脂っこい食事を食べた後30分~2時間後に右上腹部に痛みを起こします。胆のう結石は、症状を引き起こしていない状態で、健康診断の超音波検査で発見されることもあります。胆のう結石は急性壊死性胆のう炎や胆のうがんを併発することもあり、これらの病気の治療には手術が必要になります。また、胆のうがん患者の約80%は胆のう結石が見つかっています。胆のう結石による病気発症のリスクを下げるために、定期的な超音波検査や腹部CT検査を受けることをお勧めします。