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お尻がむずむず・痛い・かゆい

お尻がむずむずする原因

お尻がむずむずする症状は、下痢や便秘、痔などの肛門の病気によって引き起こされることがあります。

下着による擦れや締め付け

下着のサイズや素材が肌に合わない場合、下着によって肛門周りの温度が上がったり、擦れて痛みやかゆみがでたりします。ガードルやジーンズなど皮膚との密着性が高い衣服は避け、通気性の良い素材のものを身につけましょう。下着類は綿100%のものがお勧めです。

過度な飲酒

過度な飲酒は下痢を引き起こすことがあります。アルコールは、胃や小腸で水分や栄養を吸収する働きを妨げるとともに、大腸が便を肛門に送り出す働き(蠕動運動)を活性化させるため、食べたものの栄養や水分が十分に消化されないまま下痢として排出されます。下痢は切れ痔を引き起こす原因であり、肛門周辺の皮膚の炎症や出血を起こします。なお、アルコールだけでなく、カフェインや香辛料などを控えることも、肛門への負担を避ける上では効果的です。

生活習慣の乱れ

肛門の病気は精神的なストレスによって引き起こされることがあります。精神的ストレスは自律神経を活発にするため、血行が良くなりすぎてしまい、かゆみを引き起こします。自律神経のバランスを整えるためには、規則正しい生活や食事などの生活習慣を整えることが重要です。


お尻が痛い原因

お尻に痛みを引き起こす病気は、肛門周囲膿瘍や肛門裂傷などの炎症性の疾患のほかに、外部出血性痔核や内部出血性痔核などの血管性の疾患があります。これらの病気は、便秘や下痢などの便通異常や、トイレットペーパーなどによる過度な拭き取りの刺激によって引き起こされることが多く、放置すると悪化します。また、お尻の痛みは、直腸がんや肛門がんなどの悪性腫瘍によって引き起こされることもあるので注意が必要です。

切れ痔(裂肛)

切れ痔(裂肛)とは、肛門の皮膚が切れたり、裂けたりしてできた傷のことです。主な症状は排便時の痛みや出血です。基本的には、便秘を改善することで肛門の皮膚に傷ができないようにし、切れたところには坐薬や軟膏を用いて治療します。切れ痔は何度も繰り返すと、慢性化して治りにくくなり、肛門膿瘍と呼ばれる状態に進行します。

切れ痔

血栓性外痔核

血栓性外痔核とは、肛門周辺の血流が悪くなることで血豆ができ、はれてイボ状になったものです。血豆は肛門周辺にパチンコ玉程度の大きさで、青黒く透けて見える特徴があります。痛みを伴うことが多いです。突然発症することが多く、長時間同じ姿勢をしていたり、排便時につよくいきんだことで肛門に急激な負担がかかり発症します。通常は、軟膏と内服薬を用いて保存的に治療を行いますが、痛みが強かったり、血栓が大きな場合や、なかなか治らない場合には、局所麻酔をかけて切開して取り除きます。

肛門周囲膿瘍

肛門周囲膿瘍とは、直腸と肛門の境目にある「肛門陰窩」と呼ばれるポケット状のくぼみで大腸菌などの細菌が繁殖し、肛門腺に感染することで化膿し、膿のかたまりをつくってしまう病気です。肛門周囲膿瘍は、抗生剤や痛み止めでは治らないため、膿瘍の切開をして排膿する必要があります。皮膚が裂けて自然に排膿されることで、炎症が落ち着くこともありますが、皮膚に膿が出てくるトンネルができる「痔ろう(穴痔)」になってしまうことがあるため切開することをお勧めします。なお、痔ろうを発症すると手術が必要になります。

嵌頓痔核(かんとんじかく)

陥頓痔核とは、内痔核が進行し、肛門外に脱出するようになり戻らなくなった状態で、大きくはれ上がり、激しい痛みを伴います。緊急処置が必要なため、すみやかに受診してください。

フルニエ症候群

フルニエ症候群とは、肛門周囲膿瘍や外傷、尿路感染などが原因で、細菌が陰部や肛門周辺の皮下組織に入り込み、急速に炎症を起こし、組織が腐ってしまう悪性感染症です。発症はまれですが、命に関わることがある病気です。主な症状は、外陰部や肛門周辺のはれや強い痛み、皮膚の発赤、発熱、壊死などがあります。感染のスピードが速いため、早期治療が重要です。治療は抗生物質の投与と、必要に応じて壊死組織の除去や切除が行われます。発症は男性が圧倒的に多く、糖尿病や腎不全、アルコール中毒などの基礎疾患がある方に特に多いです。


お尻がかゆい原因

肛門周辺のかゆみは、肛門周辺の皮膚の異常や肛門内部の異常によって引き起こされることがあります。肛門がかゆい場合に考えられる病気は主に以下のようなものがあります。

肛門そうよう症

肛門そうよう症とは、肛門の周辺がかゆくなる病気で、肛門周囲湿疹ともいいます。肛門周辺に違和感や軽いかゆみがあり、就寝時や入浴時にはかゆみが強くなる傾向があります。また、悪化するとかゆみが強くなります。搔きむしってしまうと、皮膚がただれたり、赤くなります。慢性化すると肛門周辺の皮膚が硬くなり黒ずみます。

いぼ痔(痔核)、痔ろう(穴痔)

いぼ痔とは、肛門周辺の血管がうっ血することによって肛門周辺にイボ状のはれができる病気です。いぼ痔から出る血液や粘液によって肛門周辺がベタベタし、かゆみを引き起こすことがあります。痔ろうとは、下痢が直腸と肛門の境目にある「肛門陰窩」と呼ばれるポケット状のくぼみに入り込み、大腸菌などの細菌が繁殖し、肛門腺に感染することで化膿し、激しい痛みを引き起こす病気です。溜まった膿が皮膚を突き破って外に排出されることがあり、その場合、膿が肛門周辺に付着しかゆみを引き起こすことがあります。

接触性皮膚炎(かぶれ)

接触性皮膚炎(かぶれ)とは、薬品や化粧品、衣類などの何らかの物質が皮膚に接触し、刺激やアレルギー反応となって、かゆみを引き起こす病気です。石鹸や下着、生理用品、オムツなどが刺激となって、肛門周辺にかゆみを起こすことがあります。赤ちゃんは尿の回数が多かったり、下痢のときなどに長時間オムツをつけているとお尻に赤いブツブツなどの炎症が起きます。

外陰膣カンジダ症、カンジダ性膣炎

膣カンジダ症とは、「カンジダ」と呼ばれる真菌に感染することで膣に炎症が起きる病気です。原因となるカンジダは、人間の皮膚や口、膣の中などに存在する菌で、通常は人体に悪さを起こしませんが、生活習慣の乱れや過労、妊娠などによって体の抵抗力が低下していると、カンジダが増殖し症状を引き起こします。性器が赤くはれ、かゆみを起こしたり、チーズや酒粕のような白いおりものが出ることがあります。また、性器だけではなく肛門周辺にもかゆみが出ることがあります。

温水洗浄便座症候群(ウォシュレット症候群)

ウォシュレット症候群とは、温水洗浄便座の過度の使用によって、肛門の粘膜や周辺の皮膚が傷つき、肛門周囲の皮膚にかゆみなどの症状を引き起こす病気です。温水洗浄便座を使う場合は、水圧を強くしすぎず水温は低めに設定して、洗浄時間を5秒以内とするのがお勧めです。また、ぺーパーで拭くときも強く擦らず、ポンポンと当てるように水分を取り除くことが重要です。改善しない場合、治療が必要となります。

Paget病・Bowen病

Paget病(パジェット病)とは、乳管、腋窩(えきか)、会陰部、肛門周辺などの管器官由来の細胞ががん化する上皮内がんです。進行するとパジェットがんになります。パジェット病の症状は、陰部や腋などに赤く湿った病変が起こり、表面にかさぶたがあったり、かゆみがあったりします。Bowen病(ボーエン病)とは、表皮内に赤褐色のひらべったい隆起が生じるがんです。肛門のかゆみや赤み、湿った感じなどの症状を引き起こします。どちらも皮膚炎に間違われやすい病気で、皮膚科で治療を受けてもよくならない場合は注意してください。治療はどちらも原則手術で切除します。