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大腸がんの腹痛はどんな痛み?

大腸がんとは

大腸がんとは、大腸表面の粘膜から発生する悪性腫瘍の総称で、良性のポリープががん化して発生する腺腫と、正常な粘膜から直接発生するものがあります。早い段階では自覚症状がほとんどなく、症状はがんが進行してから出ることが多いため、早期発見・早期治療が重要な病気です。また、ポリープは放置するとがん化するため、定期的に大腸カメラ検査を受け、発見したポリープは切除することが重要です。早期大腸がんは内視鏡的切除を行うことで完治が期待できます。大腸がんは、男女ともに罹患者数・がんによる死亡原因として上位にあり、特に日本人はS状結腸や直腸にがんが発生しやすいとされています。大腸がんは、結腸・直腸・肛門を含む大腸全域に発生することもあります。発症リスクが高くなる40歳を超えたら症状がなくても大腸カメラ検査を受けることをお勧めしています。


大腸がんの原因(なりやすい人)

大腸がんは、男女ともに40歳代から患者数が増え始め、年齢を追うごとに罹患率が高まる病気です。また、動物性たんぱく質や脂肪分の摂りすぎ、運動不足、肥満、喫煙、飲酒は大腸がんの発症リスクを増加させます。


大腸がんのステージ

大腸がんは、ステージ0~4の5段階のステージに分類され以下のようになります。

  • ステージ0: がん細胞が上皮細胞内にとどまっており、リンパ節への転移はない。
  • ステージ1: がん細胞が大腸の壁の筋肉層でとどまっており、リンパ節への転移はない。
  • ステージ2: がん細胞が大腸の壁の筋肉層の外にまで浸潤しており、リンパ節への転移はない。
  • ステージ3: がん細胞がリンパ節へ転移している。
  • ステージ4: がん細胞が他の臓器や腹膜へ転移している。

ステージの判定は、TNM分類といってT(がんの深さ)、N(リンパ節への転移の状態)、M(他の臓器へ転移)の3つの要素を組み合わせて行います。
大腸がんは、がんの深さが粘膜下層まで到達しているものを「早期大腸がん」、粘膜下層より深く達するものを「進行大腸がん」と呼びます。進行がんは早期がんよりもリンパ節や他の臓器に転移しやすくなります。


大腸がん初期症状は?

早期の大腸がんは無症状なことが多く、がんが進行してから初めて症状を生じることもあります。大腸がんに気づくきっかけとなりやすい症状は、血便便秘下痢になるようになったなどの排便習慣の変化、便が細くなった、残便感、貧血、腹痛嘔吐などがあります。出やすい症状は大腸がんの位置によって異なるとされており、腹痛や嘔吐、血便や細い便などの症状は、下行結腸やS状結腸、直腸のがんのことが多く、貧血や腹部のしこりの症状がある場合は、盲腸、上行結腸、横行結腸のがんのことが多いです。


大腸がんで痛み?大腸がんの腰痛どんな痛み?

大腸がん自体に痛みがあるということはなく、大腸がんに伴う痛みの多くは、腫瘍によって腸管の通りが妨げられることによります。また腫瘍が完全に腸管を塞いでしまうと、腸閉塞といわれる状態になり、腹痛や嘔吐などの症状があらわれることがあります。通常、大腸がんで感じることの多い腹痛は、持続的な痛みではなく、刺すような痛みが波のように周期的に起こるものであることが多いです。また、直腸がんで腫瘍が肛門近くに発生している場合は、肛門痛があらわれることもあります。進行して他の神経や他臓器に浸潤したがんは、足や腰、背中、お尻などの腹部以外に痛みを引き起こすことがあります。


大腸がん(便の特徴、コロコロうんち大腸がん?)

通常、健康な便は直径2~3cmで長さは10~15cmの形状をしていて、塊となっているものや滑らかなソフトクリーム状ものがあります。便秘の場合、便は長さが5cm程度の塊で、複数個にわかれて排出されます。大腸がんの場合は腫瘍により大腸が狭められるため、直径1cm程度の柔らかい便が出やすいです。


大腸がんの検査

便潜血検査

便潜血検査とは、便の中に肉眼ではわからないほど微量の血液が含まれているかどうかを調べる検査です。便潜血検査が陽性の場合、消化管のどこかが出血している可能性があります。大腸がんは血便の症状を起こすこともあるため、微量の出血の段階で大腸がんが発見できると、負担の少ない治療で完治することが期待できます。しかし、大腸がんは出血を起こさずに進行することも多いため、便潜血検査が陰性でも大腸がんがないとは判断できない検査になります。また、便潜血検査が陽性でも必ずしも大腸がんであるとも限らず、痔や大腸ポリープが発見されることもあります。検査は簡易的なため、病気の早期発見のためのスクリーニングとして受けていただくことをお勧めします。

便潜血陽性

大腸がん検診について

大腸がん検診とは、免疫法便潜血検査と呼ばれる便潜血検査のことです。1日分の便を提出する1日法と2日分の便を提出する2日法という2つの方法がありますが、通常、大腸がん検診には2日法が用いられます。免疫法便潜血検査で陽性となった場合は、必ず大腸カメラ検査を受けましょう。

レントゲン検査

大腸のレントゲン検査では、肛門から大腸に空気と造影剤を注入し、レントゲン検査を行い、大腸の形状や年末の状態を映し出します。レントゲン検査は精度が高くないため、疑わしい箇所が確認された場合は、確定診断のために追加で大腸カメラ検査を受ける必要があります。当院では、大腸カメラ検査にも対応していますので、大腸カメラ検査もご検討ください。

富士フィルムAIシステム「CXR AID」

当院のレントゲンは、医師の診断を支援するAI技術を導入しています。骨や血管など様々なものが重なり視認・病変の検出が難しいときに、AI技術を使用して病変を色で医師に表示させます。当院ではこうした最新の技術をもとにレントゲンにて検査を行い、気になる病変、異常を見つけた方にCT検査にてより詳細な検査を行える体制を整えています。安心して当院にご相談していただければと思います。

大腸カメラ検査

大腸カメラ検査とは、小型のカメラとライトが内蔵されたスコープを肛門から挿入し、盲腸から直腸までの大腸全域の粘膜を直接観察する検査です。検査中に疑わしい病変を発見した場合、疑わしい部分の組織を検査中に採取し、病理検査することで確定診断に対応しています。また、前がん病変である大腸ポリープを発見した場合、その場で切除することもできます。当院では、最新式の内視鏡システムである、FUJIFILM ELUXEO7000システムを導入しています。Multi-Light Technologyと呼ばれる、LEDやレーザーなどと画像の処理を組み合わせた技術により、高精度な内視鏡観察画像を可能にしております。この技術により、粘膜表面や血管を強調して表示する「BLI観察」や画像の赤色部位などのわずかな色の違いを強調して表示させる「LCI観察」が可能となり、がんの早期発見、診断につながります。

大腸カメラ検査


大腸がんの治療

大腸がんの治療には、進行度合いと転移の可能性などを考慮して、内視鏡的手術と外科手術、抗がん剤治療が検討されます。早期大腸がんの場合は、通常は大腸カメラを用いた内視鏡的手術で完治が期待できます。他の部位への転移がある場合には、抗がん剤などの薬物療法とともに対症療法を行われます。当院では、大腸カメラ検査による適切な検査・診断を行い、必要に応じて高度医療機関へ紹介させていただきます。術後のフォローアップも行っています。