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痔ろうはどれくらいで治る?

痔ろうとは

痔ろうとは、直腸と肛門周辺の皮膚との間に組織をえぐり取るトンネルができてしまう病気です。痔ろうは、肛門周囲が炎症を起こし膿が溜まる肛門周囲膿瘍という状態を経て発症します。


痔ろうの原因

痔ろうの原因は、主に下痢です。直腸と肛門の境目には、「肛門陰窩」と呼ばれるポケット状のくぼみがあり、さらに肛門陰窩には粘液を出す「肛門腺」と呼ばれる腺があります。通常は肛門陰窩に便が入り込むことはありませんが、下痢は肛門陰窩に入ることがあり、下痢が肛門陰窩に入り込むと、大腸菌などの細菌が肛門腺に感染することがあります。大腸菌などの細菌が肛門腺に感染を起こすと、化膿し、肛門周囲膿瘍を引き起こし、やがて進行すると、痔ろうを発症します。また、アルコールの過剰摂取やストレスも痔ろうの原因になると言われています。他にも、切れ痔(裂肛)やクローン病、結核、膿皮症、HIV感染症などの病気によって痔ろうが引き起こされることがあります。なお、痔ろうは入浴等であたためると悪化するので注意してください。


痔ろうの症状は?肛門周囲膿瘍とは?

痔ろうの主な症状は、肛門周辺のはれや痛み、38~39℃の発熱、お尻の発熱、お尻から膿が出るなどがあります。また、肛門周囲膿瘍は排膿すると症状が一気に楽になります。なお、痔ろうや肛門周囲膿瘍は市販薬での治療ができないため、発症の疑いがある場合は病院を受診してください。


痔ろうの治療

痔ろうの治療方法は、手術治療法のみです。手術ではろう管(膿が作り出したトンネル状の穴)を取り除きます。ろう管はきれいに取り除かないと再発の恐れがあります。また、発症から時間がたち、ろう管が複雑に枝分かれすると、肛門を締める役割のある肛門括約筋が損なわれることがあるので、できるだけ早く治療を行うことが重要です。当院では単純痔ろうの日帰り手術を行っており、複雑痔ろうの場合には連携している高度医療機関をご紹介しています。

瘻管切開開放術(lay open法)

瘻管切開解放術とは、ろう管を切開し、縫合せずに放置するという手術法で、肛門後方部の浅い単純痔ろうの治療に用いられます。手術後の再発率は1~2%と非常に低く、また根治性が高い治療法です。当院では、日帰り手術として行っております。

括約筋温存術(くり抜き法)

括約筋温存術とは、肛門括約筋の損失を最小限にするために、ろう管をくりぬいて、膿の入口や出口、膿の元だけを切除する手術です。当院では、日帰りで行っている手術です。

瘻管切開開放術+括約筋温存術(くり抜き法)

瘻管切開解放術と括約筋温存術を組み合わせた手術法です。日帰りで行うことができ、可能な症例が多いという特徴があります。

シートン法

シートン法とは、痔ろうのトンネルの入り口から出口にゴム糸を通して、徐々に縛っていくことで、ろう管を切開する手術法です。ろう管と肛門括約筋は時間をかけて徐々に切開されていくため、ダメージを最小に抑えることができます。治療には数か月がかかり、1~2週間ごとにゴムひもを締めなおす必要があるため、手術後は定期的に受診する必要があります。なお、手術自体は日帰りで行えます。最もきれいに治すことができ、機能を守ることが期待できます。


痔ろうはどれくらいで治る?

痔ろうの状態にもよりますが、手術後2~3週間で治ります。なお自然治癒はできません。


痔ろう手術後は痛い?

痔ろうの手術後は3日ほど痛みが続きます。また手術後1週間程度は排便時に痛みを感じることがありますが、時間の経過とともに痛みは減っていきます。